「新NISAとiDeCo、どちらから始めればいい?」という疑問は、お金の勉強をスタートした人のなかで必ずといっていいほど出てくるものです。
どちらも国が用意した優れた税制優遇制度で、「やらないよりやった方がいい」と言われることも多いですよね。でも、順番を間違えると、いざというときに動かせないお金が増えてしまうことがあります。
私自身もFP2級の勉強をするなかで、この順番について深く考えました。今日はその結論をお伝えします。
結論:まず新NISAを優先してください
先にお伝えすると、私の考えは「まず新NISAを先に使い切り、余力がある場合のみiDeCoを検討する」です。
なぜそう考えるのかを、順番に説明していきます。
新NISAとiDeCo、それぞれの基本
新NISAとは
2024年から始まった新しいNISA制度では、「つみたて投資枠(年間120万円)」と「成長投資枠(年間240万円)」の2つを同時に利用できます。年間合計360万円、生涯で最大1,800万円まで非課税で投資できます。
最大の特徴はいつでも自由に引き出せることです。急な出費にも対応でき、ライフプランが変わっても柔軟に動けます。
iDeCoとは
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、老後のための資産形成を目的とした制度です。毎月の掛け金が全額所得控除になるため、節税効果が大きいのが特徴です。たとえば月2万3,000円を掛け続けると、所得税率20%の場合で年間約5万5,000円の節税になります。
ただし、原則として60歳になるまで引き出すことができません。
iDeCoをすぐに始めることのリスク3つ
① 病気や失業など「急な出費」に対応できない
私自身、36歳でがんを経験しました。治療中は働けない時期があり、収入が大きく下がりました。そのとき改めて感じたのは、「お金をいつでも引き出せること」がどれだけ大切かということです。
iDeCoで積み立てたお金は、どんなに緊急の事態でも60歳まで取り出せません。病気・失業・家族の介護など、人生には予測できないことが必ずあります。
📌 ここがポイント
iDeCoは「老後のお金専用の金庫」です。一度入れたら取り出せないと思ってください。緊急予備資金が十分にある人だけが検討すべき制度です。
② 手数料が毎月かかる
iDeCoには毎月171円(国民年金基金連合会への手数料105円+事務委託先金融機関への手数料66円)の運用手数料がかかります。年間で約2,052円、30年間続けると約6万円になります。新NISAは手数料ゼロです。
③ 受取時にも税金計算が必要になる
iDeCoのお金を受け取るとき(60歳以降)は、受け取り方によって「退職所得」か「雑所得」として課税されます。老後の税金計算が複雑になる点は、見落としがちです。特に退職金がある会社員の方は、退職所得控除の枠をiDeCoと退職金で取り合う可能性があります。
新NISAを先に始める3つのメリット
① いつでも引き出せる安心感
新NISAで積み立てたお金は、いつでも売却して現金化できます。急な出費があっても、老後のお金を取り崩す必要がありません。「万が一のときに動かせるお金」があることで、日々の生活に安心感が生まれます。
ただし、ここで大切なことをお伝えしたいのですが、「引き出せる」=「いつでも引き出していい」ではありません。
新NISAは基本的に長期投資の制度です。老後資金や子どもの教育資金など、10年以上先の目的のために積み立てることを前提として設計されています。「含み益が出て嬉しいから引き出す」という使い方はおすすめしません。
投資で最も大きな力を発揮するのは「複利の効果」です。利益がさらに利益を生み続けることで、時間が経てば経つほどお金は大きく育ちます。途中で引き出してしまうと、この複利の恩恵を手放すことになります。
📌 ここがポイント
新NISAを始める前に、まず「何のために積み立てるのか」を決めてください。老後の生活費なのか、将来の大きな支出への備えなのか——目的が明確になると、相場が下がっても慌てずに続けられます。
② 非課税枠が大きい
生涯で1,800万円まで非課税投資が可能です。月5万円積み立てれば、30年間の投資分をすべて非課税でカバーできます。ほとんどの方にとって、この枠で十分な老後資産を作れます。
③ ライフプランの変化に柔軟に対応できる
転職・引越し・家族の変化など、30〜40代は人生が大きく動く時期です。新NISAはそうした変化にも柔軟に対応できます。積立を一時停止したり、資金が必要なときに引き出したりと、自分のペースで使えます。
今日からできること
今日からできる3ステップ
- 証券口座を開設する:SBI証券か楽天証券がおすすめです。無料で開設でき、最短数日で完了します。
- 新NISAのつみたて投資枠で積立設定をする:月5,000円からでもOKです。インデックスファンドを1本選んで自動積立を設定してください。
- 新NISAを最優先にする:iDeCoの検討は、緊急予備資金が整い、新NISAの積立が軌道に乗ってからで十分です。
私自身も固定費を見直して年間27万円の支出削減に成功した後、その余剰資金を新NISAに回すことから始めました。スマホ代・保険・Wi-Fi・サブスクをひとつひとつ見直して生み出したお金を、まず新NISAのつみたて投資枠で積み立てる仕組みを作りました。
まとめ
今すぐ確認できるチェックリスト
- ☑ 緊急予備資金(生活費3〜6ヶ月分)は確保できているか
- ☑ 新NISAの口座開設は済んでいるか
- ☑ 毎月の積立金額と銘柄は決まっているか
- ☑ iDeCoの検討は新NISAを最優先した後に回せているか
新NISAとiDeCoは、どちらも素晴らしい制度です。ただし、「柔軟に使えるお金」と「老後専用の金庫」は、役割がまったく違います。まず新NISAで自由度の高い資産を育ててから、余力があればiDeCoを検討する——これが私の考える正しい順番です。
次の記事では、「なぜ投資口座を開くなら楽天証券・SBI証券なのか」について解説します。地銀や大手銀行ではなくネット証券を選ぶ理由を、手数料・使いやすさ・商品ラインナップの観点からわかりやすく説明します。ぜひ続けてチェックしてみてください。
